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#64 2023年改正対応!電動キックボードの新しい交通ルールとは?おさえておきたいポイントを徹底解説

 

都市部を中心に手軽な移動手段として注目されている電動キックボード。そのスタイリッシュなデザインと利便性から、幅広い世代に利用が広がっています。急速な普及に伴い、安全な走行のためのルール整備が急務となり、2023年7月に道路交通法が改正されました。この改正により、車両区分や運転免許の要否、走行可能な場所などが大きく見直されています。

 

本記事では、電動キックボードの基本情報に加え、改正された新しい交通ルール、利用者が誤解しやすいポイント、そして安全に利用するためのマナーや心構えについて詳しく解説します。

 

電動キックボードの基本情報と普及背景

電動キックボードは、通勤・通学やちょっとした外出など、日常の移動手段として広く利用されるようになりました。近年ではシェアリングサービスの拡大により、誰でも気軽に利用できる環境が整いつつあります。

 

電動キックボードの仕組みと魅力

電動キックボードは、電動モーターを動力源とする立ち乗り型の小型モビリティです。充電式のバッテリーで走行し、軽量で取り回しやすく、そして価格も比較的手頃な点が特徴です。シェアリングサービスの普及に伴い、都市部での短距離移動や公共交通機関との組み合わせに適した移動手段として、ますます身近な存在になっています。

 

普及の背景とメリット

普及の背景には、いくつかの社会的な要因があります。まず、環境意識の高まりにより、ガソリンを使わない電動モビリティへの関心が高まっていることが挙げられます。さらに、都市部で深刻化する交通渋滞や駐車スペース不足といった課題に対し、コンパクトで小回りの利く電動キックボードが有効な解決策の一つとなりました。近年はデザイン性の高いモデルも登場し、ファッション性を兼ね備えたアイテムとしての側面もあります。

電動キックボードの主なメリットとしては、手軽さ、経済的、環境への配慮、そして移動の自由度などが挙げられるでしょう。

 

2023年7月施行の新ルールとは

2023年7月、電動キックボードに関する交通ルールが大きく変わりました。一定の要件を満たす電動モビリティは新たな車両区分として定義され、これに伴い運転免許や走行場所のルールも見直されています。

 

法改正のポイント:車両区分の新設

今回の改正では、電動キックボードをはじめとする小型電動モビリティが「特定小型原動機付自転車」・「特例特定小型原動機付自転車」として新たに分類されました。これにより、これまで曖昧だった車両区分が明確になり、より適切な交通ルールが適用されることになります。

 

特定小型原動機付自転車の定義と要件

この区分に該当するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

 

・車体の大きさ 長さ1.9m以下、幅0.6m以下

・最高速度 時速20km以下

・原動機の定格出力 0.6kW以下

・オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること

・最高速度表示灯が備えられていること

・道路運送車両法上の保安基準に適合していること

・自動車損害賠償責任保険(共済)の契約をしていること

・標識(ナンバープレート)を取り付けていること

これらの基準を満たす電動キックボードには、専用の交通ルールが適用されます。

運転免許の不要化と年齢制限

今回の法改正により、特定小型原動機付自転車の運転に免許は不要となりました。ただし、16歳未満の運転は禁止されています。安全に運転し、交通ルールを理解できる年齢以上であることが前提です。

 

ヘルメット着用の努力義務化

改正前はヘルメット着用が義務でしたが、新ルールでは努力義務に変更されました。法的には必須ではありませんが、事故時の被害を軽減するため、着用は強く推奨されます。特に頭部の保護は、命を守るために非常に重要です。

 

利用者が間違えやすいルールと注意点

電動キックボードの新たなルールが定められましたが、利用者が間違えやすい内容も少なくありません。特に歩道の通行ルール、交差点での右折方法などは、正しく理解していないと違反や事故につながる可能性があります。

本セクションでは、利用者が混乱しやすいポイントとその注意点を整理します。

 

車道走行時のルール:原則左側通行

車道を走る際は、自転車と同様に左側端に寄って通行するのが原則です。右側通行は道路交通法違反となります。また、車道は自動車やバイクが走行しているため、後方に注意し、無理な追い越しや車両の間をすり抜けるような運転は避けましょう。

自転車道は、縁石や柵などで車道から分離されている道路です。

自転車道がある場合、車道の通行も可能ですが原則として自転車道の走行が推奨されます。

自転車専用通行帯は、安全かつスムーズに通行できるように設けられた帯状の車道の部分です。

自転車専用通行帯がある場合、車道ではなく自転車専用通行帯を走行する必要があります。

右左折時のルール

電動キックボードは、交差点での右左折にも決まりがあります。

 

左折の方法

左折時は、交差点の手前の側端から30m手前の地点に達した地点で方向指示器(左ウインカー)を出し、左側端に沿って徐行しながら安全に曲がることが基本です。歩行者や自転車との衝突に注意し、目視での安全確認を徹底しましょう。

 

右折の方法(二段階右折)

どのような交差点でも電動キックボードは「二段階右折」を行います。

 

①交差点の30メートル手前で方向指示器(右ウインカー)を出し、車道の左端に寄ります。そのまま直進し、交差点を渡りきった地点で、進行方向に向きを変え、方向指示器を消して停止します。

②進行したい方向の信号が青になったら、直進して交差点を渡りきります。

※二段階右折禁止の標識がある場所でも「小回り右折」は禁止です。

特例特定小型原動機付自転車の歩道走行時でのルール(速度制限と歩行者優先)

法改正により歩道の走行が可能になりましたが、そのルールは厳格に定められています。歩道を通行する際には、必ず最高速度表示灯(緑色の灯火)を点滅させ、時速6km以下で走行しなければなりません。また、歩行者の通行を妨げるような走行は厳禁であり、人が近くにいる場合は徐行や一時停止するなど、常に歩行者最優先の意識を持つことが重要です。

 

飲酒運転の禁止と罰則の重さ

自動車やバイクと同様に、電動キックボードも飲酒運転は法律で禁止されています。酒気帯びや酒酔い運転は、非常に危険な行為であり、重大事故につながる可能性があります。違反した場合の罰則も厳しく、拘禁刑や罰金刑が科されるため「飲んだら乗らない」を徹底しましょう。

 

二人乗りや並走の禁止

電動キックボードは一人乗り専用であり、二人乗りや他の車両との並走は禁止されています。これらの行為は車体のバランスを崩し、事故のリスクを高めます。必ず単独で乗車し、周囲との距離を保ちながら安全に走行しましょう。

 

電動キックボードの安全な利用のために

電動キックボードは便利な移動手段ですが、安全に利用するためにはルールの遵守と周囲への配慮が欠かせません。歩行者や他の車両と共存する意識を持ち、事故を防ぐための基本をおさえておきましょう。

 

歩行者や他の車両への配慮

電動キックボードの動きは周囲にとって予測しづらいことがあります。歩行者のそばを通る際は速度を落とし、安全な間隔を確保しましょう。交通の流れを読みながら、他者の通行を妨げない運転を心がけることが大切です。

 

安全な速度と運転操作

法律で最高速度は定められていますが、常にその速度で走るのが安全とは限りません。路面や交通状況を見て、安全な速度で走行することが重要です。段差や道路のくぼみに車輪が引っかかり転倒した事例もあります。急発進や急ブレーキ、無理な進路変更は転倒や事故につながりかねません。安定した姿勢で、落ち着いた操作を心がけましょう。

 

ヘルメット着用と安全意識

法律上はヘルメットの着用が努力義務となりましたが、自身の安全を守るためには、積極的にヘルメットを着用することを強く推奨します。また、交通ルールを守るだけでなく、「かもしれない運転」を心がけ、常に危険を予測しながら運転する安全意識を持つことが、事故を防ぐ上で最も重要です。

 

まとめ

2023年7月に施行された新しい交通ルールによって、電動キックボードの利用は新たな段階を迎えました。特定小型原動機付自転車という新しい車両区分が設けられ、運転免許が原則不要となるなど、利便性が高まる一方で、歩行者保護や安全確保のための新たなルールも定められています。電動キックボードを利用する際は、これらのルールをしっかりと理解し、安全な運転を心がけることが何よりも重要です。また、ヘルメットの着用や、歩行者への配慮といったマナーも守り、誰もが安全で快適に道路を利用できる社会を目指しましょう。

東山自動車学校は、地域の交通安全のために様々なサポートを行っています。電動キックボードの安全な利用について疑問や不安な点があれば、お気軽にお問い合わせください。