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#14「自動車学校の応急救護!教習の流れや内容を紹介」

自動車を運転している時に交通事故を起こしてしまった場合、当事者のドライバーは「応急救護」を行わなければなりません。そのため自動車学校においても、道路交通法において「応急救護処置」の教習の受講が義務付けられています。今回は応急救護について、基礎的な知識から具体的な教習の流れ、内容について解説していきます。

応急救護とは?

応急救護とは、万が一自動車事故に遭遇した場合のために行う一次救命処置のことです。事故により負傷者が発生した場合、安全な場所への移動や119番への通報、場合によっては救急車が到着するまでの心肺蘇生などの救命措置を行う必要があります。自動車学校では、運転技術や交通ルールを学ぶのと同時に、ドライバーの義務である応急救護処置についても学びます。

応急救護の重要性

交通事故発生時には、周囲の救命措置が負傷者の生死を分ける場合があります。「現場に居合わせた人が適切な処置を施したおかげで、命が助かった」という話を一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。あなたが医師ではないとしても、心肺蘇生などの救命措置に関する知識があれば、人命を助けることができる可能性は十分あります。救急車が到着するまでの間、勇気をもってできる限りの応急救護を行うことが非常に重要なのです。

ちなみに、応急救護には実施義務があります。道路交通法第72条第一項では、「車の運転中に死傷させたり物の損壊があった場合には、その車のドライバーとその他の乗務員は、直ちに車両などの運転を停止して、負傷者を救護しなければならない」と定められています。こうした事故発生に備えて応急救護を学ぶ必要があるのです。

誰から学ぶ?

応急救護教習では、事故発生からの具体的な救命処置について学びます。教習内容としては、人工呼吸や心肺蘇生など、救急車が現場に到着するまでに実施すべき延命措置なども含まれます。そのため教習の指導員は、応急救護処置指導員の資格所持者や医師に準ずる能力を有した人と定められています。

受講するタイミング

自動車学校において応急救護を学ぶタイミングは、仮免許取得後の第二段階の学科教習にて受講していただきます。ただし、一度に受講できる定員が決められており、通常の学科とは違い予約が必要になるため注意が必要です。

どのくらい時間がかかるのか

応急救護教習は通常3時間行われます。交通事故などの緊急時に必要な基本的な救命技術や応急処置の方法を学びます。
教習は座学と実技の両方で構成されており、理論的な知識を学んだ後、実際に練習用の模擬人体を使った心肺蘇生法の練習やAEDの操作方法を体験します。
3時間の教習ですが非常に重要な内容となっているため、集中力を持って臨むことが大切です。

期限内に終わらせておこう

応急救護教習は、運転免許を取得するための必須項目です。定められた期限内に必ず受講し修了する必要があります。一般的には仮免許取得後の第二段階で受講するよう設定されていますが、具体的なタイミングは自動車学校によって異なる場合があります。

応急救護教習の修了は卒業検定を受ける際の必須条件の一つです。スムーズな教習進行のためにも、自動車学校から指定された期限内に必ず受講できるよう計画的に進めましょう。

応急救護は安全な場所で行う

応急救護を行う際は、まずは安全な場所を確保することが重要です。原則として、交通事故や応急救護が必要な状況に遭遇した場合、自身が救護中に交通事故に巻き込まれるなどの二次災害を防止するために、負傷者を安全な場所に移動させてから処置にあたります。
ただし、負傷者のケガの状態によっては移動させられないケースもあります。その場合は発炎筒を焚く、もしくは停止表示板を使用して安全の確保を行います。交差点やカーブ、坂道、大通りなどの場所は、二次災害の危険性も高いため、路肩や公園、広場といった車の通行が限られる場所で処置をしましょう。

使用する教材

ここからは、実際の応急救護の教習を受ける際にどういった内容を学ぶのかを解説していきます。まずは使用する教材についてです。教習は、座学と実技の両方がありますが、使用するのは主に「教本」「模擬人体装置」「AEDトレーナー(訓練用器材)」の3つになります。それぞれ見ていきましょう。

教本

応急救護では、まず教本で交通事故に巻き込まれた負傷者を救護するための知識を習得します。心肺蘇生や自動体外式除細動器(AED)の使用方法、負傷者への止血をはじめとする救護の方法などが主な内容です。教本には救護の方法が指導要領のもと、わかりやすくまとめられているため、前提知識がなくても安心して学ぶことができます。

模擬人体装置

模擬人体装置は応急救護講習に欠かせない装置です。使用する際は、高い教習効果を得るため、教習生4人に対して大人全身2体(全身1体及び半身1体)を使用して教習を行います。

 

AEDトレーナー(訓練用器材)

AEDトレーナーを使用する際は、原則1つのグループにつき1台で講習を行います。
AEDトレーナーを交通事故の負傷者に使用する場合、まずは119番で救急車の手配、そして周囲のAEDを探し、以下の手順を踏んで心肺蘇生を行います。

①負傷者の反応を確認

②呼吸を観察した後、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う

③気道確保及び人工呼吸

④AEDを使用する

AEDは、町のコンビニ、スーパー、ドラッグストアといった施設のなかにも備えられています。周囲にほかの人がいる場合、協力してもらい処置することが大切です。

基本的にAEDは、機械音声にしたがって操作を行うことになりますが、主な手順は以下の3ステップになります。

①負傷者の頭付近に置き、フタを開ける

②電極パッドを音声の指示通りにつける

③電気ショックが必要な場合は負傷者から離れ、ショックボタンを押す。

以上が、大まかなAEDの使用手順です。応急救護教習で使用する場合は、音声だけでなく液晶での案内もあります。慌てずに落ち着いて対処するようにしましょう。

上記でご紹介した3つの教材を用いて、応急救護では処置の方法や留意事項などを学びます。座学では、

・現場での対応
事故による負傷者の観察と移動。また負傷者を救命するために必要な手順と管理方法

・一次救命処置
気道確保を含む人工呼吸や胸骨圧迫(心臓マッサージ)といった心肺蘇生法、AEDを用いた除細動など

・止血法
止血を行うにあたって必要となる知識を学びます。血管、出血の種類、出血量ごとに起きうる症状、包帯と布の使用方法など

これらの講義を座学で受けた後、実技の教習に移ります。

 

応急救護は恥ずかしい?

応急救護教習を受ける際に、恥ずかしいと感じることがあるかもしれません。しかし、この教習は非常に重要なものであり、万が一の際には人命を救うことに繋がります。

演技が恥ずかしい?

応急救護教習では、実際の緊急事態を想定した演習を行います。
大きな声で「大丈夫ですか?」と呼びかけたり、周囲に助けを求めたりする場面があり、確かに恥ずかしさを感じる人もいるでしょう。しかし、この「演技」は単なる練習ではなく、実際の緊急時に適切に行動するための重要なトレーニングです。

大きな声を出すことには次のような重要な意味があります。

・倒れている人の意識を確認する

・周囲の人々に注意を喚起し、協力を得る

・自分が救助者であることを明確にアピールする

特に3点目は重要で、これにより窃盗やセクハラなどの誤解を防ぐことができます。緊急時に適切に行動するためには、この「恥ずかしさ」を乗り越える練習も必要なのです。

人工呼吸の練習が恥ずかしい?

人工呼吸の練習は確かに恥ずかしさを感じる人が多いでしょう。
ただ、近年の状況変化により人口呼吸に対する認識も変わってきています。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、感染リスクを考慮して一般市民による人工呼吸は推奨されなくなりました。現在の救命処置のガイドラインでは心臓マッサージのみで十分とされています。
ただし、溺れた子どもを救助する場合など、特定のケースでは人工呼吸が必要になることもあるため、状況に応じて適切な判断が求められます。恥ずかしいと感じるかもしれませんが、練習を通じて適切な技術を身につけましょう。

事故が起きた時、恥ずかしいとは言ってられない

実際に事故が起きた際には、恥ずかしがっていられる状況ではありません。迅速で的確な対応が被害者の命を救う可能性を高めます。応急救護教習で学んだ知識と技術は、いざという時に大変役立ちます。自分自身だけでなく、周囲の人々の安全を守るためにも、しっかりと教習に臨みましょう。

 

応急救護の具体的な内容


ここからは実際に応急救護教習で、どのような内容や流れで学ぶのかを解説していきます。自動車免許取得には必須の教習なので、事前準備をして万全な状態で受講できるようにしておきましょう。

事前準備

応急救護教習は、座学と実技で構成されています。教習中は座って説明を聞くだけではなく、実際に事故現場で行う救命措置を体を動かしながら練習します。模擬人体装置を使って人工呼吸や心肺蘇生など、立ち上がる・しゃがむといった屈伸運動を行います。そのため教習当日は、こういった活動に適したある程度動きやすい服装が望ましいといえます。スカートやサンダルでの受講はやめておきましょう。髪が長い方であれば、事前に髪を結ぶなどしておけばスムーズに救命練習を行うことができます。また、アクセサリー類やネイル等は実技の中で破損してしまう恐れがあるため、あらかじめ外しておきましょう。

座学などで使用する教材は、資料として受講時にその場で配布されます。受講に際して特別必要になるものはありませんが、メモをする場合に備えて筆記用具は用意しておきましょう。

流れ

応急救護教習は、全部で3時限です。1時限目の座学では、教材の映像や配布された資料をみながら指導員の説明を聞きます。2・3時限目からは実技です。まずは指導員のお手本を見ながら動作確認を行い、その後実際に練習用の模擬人体装置を使用して練習します。それぞれ具体的な流れをみていきましょう。

・1時限目
1時限目では、応急救護について基礎的な知識を座学を通して学びます。教習中に配られる教材を見ながら、指導員の説明や映像を見ることで2・3時限目の実技に向けて知識を頭に入れていきます。具体的に学ぶ内容としては、事故後の負傷者への措置や心肺蘇生、AEDの使用方法などです。

・2時限目
2時限目では、模擬人体装置を使用して応急救護を実際に練習します。まずは指導員がお手本を見せます。具体的には、事故発生時に負傷者を発見してから、大きな声を出して周囲に助けを求めることから開始します。負傷者の意識確認や119番への通報、AEDの用意など、救急車到着までにやらなくてはならないことは多いです。実践を通して、実際に行わなければならない応急救護について学びます。

・3時限目
3時限目では、教習生が実践練習を行います。2時限目で見た指導員の動作を参考に、模擬人体装置に対して胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸などを練習します。周囲へ協力を求める声かけや、AEDの装着なども教習を通して練習します。

応急救護に関する説明(座学)

座学では、応急救護の基本的な知識や理論を学びます。交通事故が発生した際の初動対応・救命措置の重要性・緊急連絡先の把握など、知識を身につけることが目的です。

応急救護の実践(実技)

実践では、心肺蘇生法や止血法・意識が無い場合の対応など、具体的な救命技術を習得します。座学で学んだ知識をもとに練習用のマネキンを使って胸骨圧迫や気道確保の練習を行い、実際の事故現場での対応力を高めます。また、AEDの使用方法や傷病者を移動する際の注意事項など、現場を想定して教習を行いますので、もしもに備えて知識を身に付けましょう。

 

受講が免除になる場合もある

自動車免許の取得には欠かせない応急救護教習ですが、以下のような資格所持者は免除されます。

・普通免許、準中型免許、大型二輪免許、普通二輪免許のいずれかの免許資格取得者。

・応急救護免除対象者となる資格を有している人(医師、歯科医師、保健師、看護師など)。

上記に該当すれば、教習を受ける必要がなくなります。ご自身が該当するかどうかについては、事前に問い合わせしておくようにしましょう。

万が一に備えて応急救護を学ぼう

今回は、自動車学校における応急救護について解説しました。どんなに注意をはらって運転していても、不慮の事故が発生してしまう可能性はゼロではありません。応急救護教習で救命方法を学ぶことで、万が一の事態に備えておきましょう。東山自動車学校でも、丁寧な応急救護教習を実施し、教習生のみなさんが不安なく公道に出られるようにしています。不明点はぜひお気軽にお問い合わせください。名古屋市内で教習所や自動車学校をお探しの方はぜひ東山自動車学校へ。免許取得に関する疑問にもお答えします。